岩淵水門を知っていますか。
2021.05.06
…水門よ、お前は美しい……
アッ、これは私の言葉です。水門のいったいどこがいいのでしょうか。水門は川の流れを調整して水害から下流を守る大変重要な施設ですが、それだけではないと言いたいのです。門柱と門柱の間につり上げられたゲートの圧倒的な緊張感、門柱に乗る上屋の形状や窓の形、外装を覆うコンクリートの質感、一つの機能に徹したときその形状に無駄はなく、同時に建造物としての美しさも比類がないと考えるのです。運河、川、堀、掘割と水の都市である東京では水門はたくさんあります。浜前水門、六郷水門、築地川水門、佃水門、新川東水門…大小含めてキリがありません。
今回紹介しますのは、北区に屹立する岩淵水門なのです。岩淵水門は、荒川大橋を埼玉から東京方面へ渡るとき左手にみえてまいります。手前に赤くみえるのが旧岩淵水門(赤門くん、今は使われていません。)、どっしりした安定感があります。奥の水色が新しく建てられた岩淵水門(青門くん)なのです。こちらは背が高くいくらかスマートなのが特徴でしょう。この水門は普段は開いておりますが、洪水のときに隅田川に流れこむのを防ぐ為ゲートを閉めてしまいます。2019年10月に関東を台風が襲ったときには、東京周辺でも多摩川下流の世田谷、川崎市では残念なことに冠水の被害に見舞われましたが、青門くんは隅田川をシッカリ守りきってくれたのでした。当時上流では雨はどんどん降り、下流の水位がどんどん上がっておりました。水門を閉じる前後が一番緊迫して時間だったのです。しかし普段はいたってのんびりしております。散歩する人々、行き交う自転車、釣りをする人などなどです。そう、荒川の河川敷は自然と触れあうところでもあるのです。皆様も一度岩淵水門の雄姿にふれてみてはいかがでしょうか。
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